視覚障害者と登ろう…山歩き団体、協力者募る
中高年から若い女性へと登山ブームが広がる中、山に挑戦したいという視覚障害者が増えている。目の見える人(晴眼者)のサポートは欠かせない一方、協力者が不足している。
「視覚障害者からの申し込みは集まるが、晴眼者からはなかなか来ない。結果的に、視覚障害者の参加を断らざるを得なくなる」
視覚障害者と晴眼者が対等な立場で山歩きを楽しむ「六つ星(むぼし)山の会」(東京都新宿区)の顧問、町田清矩(きよのり)さん(69)が打ち明ける。
1982年結成、視覚障害者登山の草分け的団体で視覚障害者約80人、晴眼者約120人が在籍する同会では原則、山行には視覚障害者1人に前後1人ずつ同伴者が付き、段差や頭上の枝などに注意を促す。
関東周辺の低山を中心に年20回ほど山歩きを企画するが、毎回サポート役10~20人の確保に苦労し、一般の登山愛好家団体を含めて他団体に声をかけている。
20年超の歴史を持つ「ハイキングクラブかざぐるま」(大阪府)も同じ。代表で全盲の比嘉財定(ひがざいてい)さん(65)は「視覚障害者1人にサポート2人を付けたいが、高山や難しい山でない限り、1人が精いっぱい」と話す。
町田さんによると、視覚障害者が参加できる登山団体は全国に約20しかなく、六つ星山の会に岩手から参加の相談が来たことも。
同会会員で進行性弱視の長谷川武さん(45)は「自分の足で頂上に立った時の達成感は素晴らしい」と話し、「登山をしたい視覚障害者はもっと多くいるはず」と町田さん。同会などは、こうした人々と山登りの楽しみを共にしたいという人の協力を求めている。同会への問い合わせなどはホームページ(http://www.mutsuboshi.net/)から。
(2010年9月14日 読売新聞)