障害者参加の会議 情報どう伝達
障害のある人が参加した「障がい者制度改革推進会議」が開かれているけれど、どのように、情報のバリアを乗り越えているの?
点字、映像配信…工夫様々
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作図・デザイン課三厨加代子
障害の定義や自立支援など、障害者政策の青写真を探るため、今年初め、内閣府に設置された推進会議。26人のメンバーのうち15人が障害者かその家族で、障害を持つ人が自分たちにかかわる政策を決める点も画期的とされる。
視覚、聴覚障害がある人、その両方を併せ持つ「盲ろう」の人のほか、車いすの人や精神、知的障害を持つ人らがいる。コミュニケーションに困難を持つ人たちが、一つのテーブルを囲んで話し合うことから、会議では多くの工夫が凝らされている。
例えば、手話通訳者は3人おり、耳の不自由な委員の前に座る。さらに、要約筆記者が発言を瞬時にパソコンに打ち込み、スクリーンに字幕を映す。盲ろうの人の脇には、指点字通訳者が控え、手の甲を指でたたき情報を伝える。
会議資料も知的障害のメンバーへの「ふりがな付き資料」と、視覚障害のメンバー向けの「点字資料」など様々。難聴の人の要望で、雑音を少なくする放送設備も取り入れた。
情報公開にも新機軸を打ち出した。インターネットでの映像配信は、会議の映像、手話の映像、字幕を同じ画面で見ることができる。国が開く会議では初めての試みだ。
しかし、最新機器を取り入れるだけでは、障害のある人たちのコミュニケーションを支えることはできない。同会議担当室長の東俊裕さんは、「専門用語や外来語が多いと、知的障害があってもなくても分かりにくい。なるだけ日本語で、分かりやすく話すことが大切」と言う。分かりにくい表現があったときには、知的障害の人が「イエローカード」を提示できるルールも3月に設けられた。
4時間の会議は身体への負担も大きい。このため、休み時間を長めにとる。指点字を利用する盲ろうの人の場合、手の甲を長い時間たたかれると、感覚がなくなって通訳の内容を読み取れなくなることから、代理人を設け交代で会議に参加することも認めた。
障害がある人の十分なコミュニケーションを可能にするには、道具だけでは足りない。お互いが思いやりと理解を持っていることが大前提だ。このことは、職場や学校、地域など一般社会にも、そのまま通じるだろう。(梅崎正直)
(2010年4月13日 読売新聞)